こんにちは。
ことばとこころの教室「にじいろ」の言語聴覚士、 谷口です。
今日は吃音(きつおん)について、お話していこうと思います。
「お、お、お弁当」
「あーーのね」
お子さんが一生懸命お話ししようとするとき、ことばが引っかかったり、繰り返したりする姿を見て、「どう反応してあげたらいいんだろう……」とフリーズしてしまった経験はありませんか?
ネットで検索すると、
「指摘してはいけない」
「真似をせず、最後まで話を聴いてあげて」
「自然に治ることも多いから、まずは様子を見ましょう」
といったアドバイスがたくさん出てきます。
でも、目の前で我が子がつっかえている現実を前に、ただ「様子を見る」だけなのは、本当に辛いものですよね。
「私の育て方のせいで不安にさせているのかな」と、自分を責めてしまう方も少なくありません。
まずお伝えしたいのは、**吃音は親御さんの育て方や愛情不足とは一切関係がない**ということです。
そして今の吃音臨床では、ただ見守るだけでなく、
「早期から親子で楽しく取り組める、科学的根拠(エビデンス)に基づいたアプローチ」が存在します。
今回はその代表的な方法である「リッカムプログラム」について、言語聴覚士の目線で分かりやすくご紹介します。
⭐︎リッカムプログラムってどんなもの?
リッカムプログラムは、オーストラリアで開発された、主に6歳未満の小さなお子さんを対象とした吃音の指導法です。
世界中でその効果が実証されており、現在の吃音臨床において非常に信頼性の高いアプローチとして知られています。
このプログラムの最大の特徴は、「毎日のお家での生活の中で、親御さんがメインになって行う」という点です。
週に1回、専門の言語聴覚士(ST)とお会いして進み具合を確認しますが、実際にお子さんのことばを育むのは、他でもない大好きなパパやママになります。
Q . 具体的に、お家で何をするの?
リッカムプログラムの基本は、とてもシンプル。大きく分けると3つのステップがあります。
① 1日15分、特別な「楽しいおしゃべりタイム」
まずは、お子さんと1対1でゆったり向き合える時間を1日15分だけ作ります。お気に入りのおもちゃや絵本を使い、お子さんが「どもらずに、すらすら話しやすい環境」を親御さんが意図的にセッティングして、楽しく会話をします。
② 「すらすら」をたくさん褒める
お子さんがどもらずに言えた瞬間(すらすら話せた時)をキャッチして、「今のみるく、すらすら言えて素敵だったね!」「お話し上手だね」と、ポジティブなフィードバックをたくさん伝えます。
③ 「つっかえ」に優しく声をかける
もし明らかにことばが詰まった時は、決して否定せず、「ちょっとお口ががんばったね」「もう一回、すらすらで言ってみる?」と優しく促します。
ここで大切なのはバランスです。「1回優しく指摘したら、5回以上はすらすらを褒める」という、圧倒的なポジティブさが鉄則になります。
Q . なぜ「言語聴覚士(ST)」と一緒にやる必要があるの?
「褒めて、たまに優しく言い直すだけなら、家で自己流でやってもいいのでは?」と思われるかもしれません。
しかし、ここが一番大切なポイントです。
リッカムプログラムを自己流で行ってしまうと、「指摘」の割合が意図せず増えてしまい、お子さんが話すこと自体を嫌がってしまうなど、逆効果になるリスクがあります。
そのため、私たち言語聴覚士(ST)が「伴走者」として一緒に進めていきます。
毎日の変化をチェック: 親御さんに毎日「今日の吃音の調子は10段階で何点だったか」を記録してもらい、毎週STとその基準(ものさし)をすり合わせます。
オーダーメイドの調整:子どもの性格や、その週の吃音の波(調子の良し悪し)に合わせて、「今週は褒めるだけにしましょう」「来週から少し言い直しの練習を入れましょう」と、フィードバックのセリフやタイミングをSTが細かくカスタマイズします。
親御さんが迷子にならないよう、安全に、そして一番効果が出るようにナビゲートするのが私たちの言語聴覚士の役割です。
リッカム以外にも吃音の治療法はいくつかあります。
リッカムと組み合わせて行うこともありますが、幼児の場合 DCMまたはリッカム となりますので、
もし「リッカムプログラムを受けたい」「うちの子の年齢でも始められる?」「まずは話だけでも聞いてほしい」など、ご質問があれば、どんな小さなことでもお気軽にご相談くださいね。
にじいろは、お子さまとご家族の歩みにじっくりと寄り添い、サポートさせていただきます。




